「透明性登記簿」への登録義務
私法上の法人および人的会社の受益者を、透明性登記簿(Transparenzregister)に記載することは、2017年10月1日からすでに義務化されていました。ただ、資金洗浄防止法(Geldwäschegesetz)第20条2の通知義務により、企業の受益者が商業登記簿など電子的に検索可能な登記簿ですでに明らかになっている場合、透明性登記簿への記載義務が満たされていると考えられ、改めて透明性登記簿に記載する必要はありませんでした。
この規定は、2021年8月1日の「透明性と財務情報に関する法律」(Transparenz- und Finanzinformationsgesetz)の成立によって変更され、全ての私法上の法人および人的会社の受益者を透明性登記簿に記載することが義務化されました。同法は2021年8月1日に発効しましたが、登録義務の履行に関しては、法人形態に即して以下のような期限が設けられています。
・株式会社(AG)、欧州株式会社(SE)、株式合資会社(KGaA)→ 2022年3月31日まで
・有限会社(GmbH)、協同組合、欧州共同組合、パートナーシップ形態の企業
→ 2022年6月30日まで
・その他の形態 → 2022年12月31日まで
特に、従来法で登録が免除されていた企業、新しく設立された企業は、今回初めて登録を行う必要があるため注意が必要です。また、記載内容に変更があった場合には、継続的にこれを通知します。将来的には、商業登記簿に記載されるような必要情報は、同時に透明性登記簿にも記載しなければなりません。記載を怠ったり、内容に誤りがあった場合には、罰金が課せられることがありますのでご留意ください。
会社行事に参加する従業員への費用配分
会社行事の際に雇用者が負担した費用は、一般的に現物給与として被用者の賃金税の対象となります。ただし、年に2回までの行事であれば、従業員1人当たり行事1回の費用が110ユーロを超えなければ非課税となります。
では、当初参加予定だった人が欠席した場合はどうでしょう。行事に必用な出費の総額を、欠席者の人数分だけ減額することはできません。欠席した従業員の分として算出していた費用を、出席した従業員に帰属させ、その結果、彼らの現物給与が増加し、賃金税の対象となる可能性はあるでしょうか。
ケルン財政裁判所がこれを「否」とする判断を下した後、連邦財務裁判所は、これを覆しました。法律はこの点で明確であり、行事の計画段階に予定されていた参加者数ではなく、実際に参加した従業員の数を基準としている(所得税法第19条1項1a参照)というのが根拠です。つまり、行事の費用は当日の参加者だけに帰属することになります。
ミニジョブ: 法定最低賃金の引き上げ
ドイツの最低賃金(時給)は、最低賃金委員会の決定により、現在、数段階に分けて増額されています。
・ 2021年7月1日から 9.60 ユーロ
・ 2022年1月1日から 9.82 ユーロ
・ 2022年7月1日から 10.45 ユーロ
最低賃金引き上げの結果、ミニジョブの月額賃金総額が450ユーロの上限を超えないように、労働時間を調整(削減)する必要があるかもしれません。上限を超えると、賃金税や社会保険料の負担義務が発生する可能性があるので、注意が必要です。